白湯を飲むと痩せるという話を聞いたことがありますか?
白湯は沸騰させた水を冷ましたものなので、白湯を飲んで痩せると言うのは賛否があると思います。ですが、白湯ダイエット法には、ちゃんとした科学的な根拠があります。
もし、白湯を飲むだけで痩せられるなら、お金も時間もかからず、体への負担もない、夢のようなダイエットですよね。
具体的な方法としては、食事の前に、500 mLほど白湯を飲むことをおすすめします。また、便秘の方は白湯を飲むことによって便秘が解消し、おなか周りがスッキリすることも期待できます。
この記事では、白湯ダイエットの根拠と、おすすめの飲み方などを医学雑誌に掲載された論文などを踏まえて解説させていただきます。
白湯ダイエット法の根拠は便秘改善と新陳代謝の増加
白湯を飲んで痩せるダイエット(以下、白湯ダイエットと呼びます)にはいくつかの根拠があります。
その中でも代表的な根拠は以下の3つです。
- 白湯摂取による満腹感
- 便秘改善
- 基礎代謝の増加
最も効果的と考えられる根拠は、水分の摂取で満腹感が上がり、食べ過ぎを抑えることです。
また、便秘の方が白湯を摂取することで便秘が改善し、おなか周りがスッキリすることが期待できます。
そして、最後に基礎代謝の増加ですが、暖かい白湯を飲むことで内臓が暖まり、新陳代謝が上がります。
一方で、冷えた白湯を飲む場合には、水の温度を体温まで上げるためにエネルギーが奪われ、基礎代謝が上がるのです。
このような効果が重なりダイエット効果が期待できるという訳です。
これらのダイエット効果は、白湯に限らず水分摂取全般に言えることではありますが、多くの方が気になるお話かと思います。ここからは、便秘の改善と基礎代謝の変化に特に焦点を当てて解説をしたいと思います。
白湯が便秘改善、基礎代謝を増加させる理由
便秘を改善する理由
最初に便秘改善について解説をします。
厚生労働省のキャンペーンデータによると、わたしたちの体は約60%が水でできていて、体重が60 kgの成人男性で換算すると毎日2.5 Lもの水が汗や尿などで失われます。
そして、この失われる水分のうち約1.2 Lの水分を飲用水として摂取しなければいけません。飲用している水の量が不足している場合には、食べ物に含まれる水分を吸収し補うこととなり、結果として便に含まれる水分が少なくなり、硬く、ころころとした便となってしまいます。
水分摂取が便秘改善に重要な理由はこのような理由によるのです。
また、暖かい白湯は内臓を温め、血流をよくするため、白湯を飲むことで腸の血流が高まり、腸のぜん動運動によって排便がよりスムーズに出るように働くのではないかと考えられます。
基礎代謝を増加させる理由
水分を摂取することで体重を下げるもう一つの根拠に基礎代謝や新陳代謝を高めることによる効果が期待されます。
代謝を専門分野とした医学論文雑誌「The Journal of clinical endocrinology and metabolism」に掲載された2003年の研究では、水を飲むことでエネルギーをどの程度消費するかを詳細に調べています。この研究によると、水が体に吸収された後、体温の37度付近まで水の温度を上げるために体内の熱が奪われ、結果としてエネルギーが消費されることが分かっています。
この研究から、22度、500 mLの水を飲むと、なんと30から40分の間、基礎代謝が約30%も高まったそうです。
一方で、暖かい白湯を飲むと新陳代謝が高まると言われています。これは白湯によって温められた内臓を体温まで下げるために末しょうの血流量を高め、汗をかくためです。白湯には解毒作用があると考えられていますが、これは、通常の水分摂取による利尿作用に加えて発汗作用があるためと考えられます。
白湯ダイエットに挑戦してみよう
次に、おすすめの白湯ダイエット法を紹介します。
白湯ダイエットのおすすめは朝、昼、夜と食事の前に白湯を飲む、ただこれだけです。
白湯の量は体質に合わせて決めると良いと思いますが、2009年に肥満を専門分野とする医学論文雑誌「Obesity」に掲載された研究では、1回あたり500 mLずつの水を飲んで減量をしていたので、一つの目安にするとよいと思います。
この研究では、肥満の方に、水を1日3回、500 mLずつ飲んでもらい、12週間で体格指数(Body Mass Index:BMI)は1.9、体重は約6 kgも減少しました。
12週間、毎食前に500 mLの白湯を飲むというのはとても大変なようにも思うかもしれませんが、実際には食事の準備をするときに白湯を準備するだけですので、最初は負担に感じる方もいると思いますが、習慣にしてしまえば、ほとんどストレスにはならないと思います。気になった方は、ぜひ試してみると良いと思います。
さいごに
白湯でダイエット、いかがでしたか。正直なところ、実際に影響が大きいのは、白湯を飲むことで、満腹感が増し、食事の摂取量が変わることだと思います。
記事の中で紹介した研究 [3] では毎食前に500 mLの水を飲むことで、1日あたり約50 kcalほど摂取カロリーが減り(食事摂取量が減少したため)、消費カロリーが20~30 kcal増加していました(水を吸収した際の熱産生)。
冷えた白湯を飲むと熱を産生し、熱い白湯を飲むと血流がよくなるというのは、とても興味深く、飲用水の温度の違いだけで、体の反応が異なるというのも、生命の本質に触れたような気持ちになりました。
また、本文中でも触れましたが、白湯ダイエットの肝は習慣にできるかどうかです。最初は負担に感じるかもしれませんが、慣れてくればストレスを感じずに続けられると思いますので、「つらいのは慣れるまで!」と思いながら、挑戦してみてください。
- 厚生労働省、「健康のため水を飲もう」推進運動(検索日:2022/7/13)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/nomou/index.html
- Boschmann, M., Steiniger, J., Hille, U., Tank, J., Adams, F., Sharma, A. M., Klaus, S., Luft, F. C., & Jordan, J. (2003). Water-induced thermogenesis. The Journal of clinical endocrinology and metabolism, 88(12), 6015–6019. https://doi.org/10.1210/jc.2003-030780
- Dennis, E. A., Dengo, A. L., Comber, D. L., Flack, K. D., Savla, J., Davy, K. P., & Davy, B. M. (2010). Water consumption increases weight loss during a hypocaloric diet intervention in middle-aged and older adults. Obesity, 18(2), 300–307. https://doi.org/10.1038/oby.2009.235