白湯の美容効果とは?便秘解消と角層の機能向上で肌のハリをUP

白湯を飲んで肌の水分維持をしよう

みなさまは、肌に良い飲み物と聞いて、何を思い浮かべますか?肌を老化から守るためには、ポリフェノールのような抗酸化作用が強いコーヒーや緑茶が良いと言われています。また、タンパク質が糖質と結合して糖化すると、シミなどの原因となるため、糖分が多い飲料は気を付けましょう。特に果物に含まれる果糖と言われる糖はブドウ糖の10倍も糖化すると言われており [1]、注意が必要です。

一方で、美肌のためには白湯をおすすめされる方もいらっしゃると思います。この記事では、水分摂取とお肌の関係について解説をしたいと思います。

水分を摂取することで肌の水分を維持できます

早速ですが、結論から申し上げると、白湯が肌に良いという科学的な根拠は見つけることができませんでした。しかし、食べ物や飲料から水分を摂取することで肌の水分量が増すことがいくつかの研究で報告されており [2-4]、水分を摂取することで皮膚を守る働きが期待されます。

特に皮膚表面にある角層と呼ばれる膜の水分が大切な役割を担っています。角層の乾燥を防ぐことで、肌にツヤとハリが生まれるだけでなく、皮膚のバリアー機能まで維持してくれます [5]。肌にとって、水分の摂取はとても大切なんですね。

水分摂取が美肌のために大切な理由

水分をたくさん摂取するほど肌の水分が維持されます

水分を摂取することによる、肌の状態や水分値を調べた研究 [4] では、水分を食事や飲料から3.2 L以上摂取している方と、3.2 L未満の方の皮膚の水分などを比較しています。そして、水分の摂取量が多かった人たちでは、表皮だけでなく、皮膚の内側でも水分が上昇していたことが報告されています。

さらには、皮膚の粘弾性、つまりハリを評価する試験も行い、水分の摂取量が多かった人たちでは、額、手や足などでハリが良いという結果でした。

角層の水分は皮膚のバリアー機能を助ける

肌の水分と聞いて、一番に思い浮かべるのは、肌のハリやツヤだと思います。また、皮膚の表面にある角層の水分が不足すると、ハリが無くなってしまうほかに、乾燥によるかさつきや小じわなど、肌のトラブルが増えてしまいます。

さらに、皮膚の水分は、皮膚のバリアー機能を維持するためにとても重要です。例えば、皮膚の水分が不足すると、角層の細胞間の浸潤液がなくなり、角層細胞同士の摩擦による炎症、乾燥による赤みが出るなどの可能性があります。

このように、美容面ではもちろん、肌トラブルを予防するためにも、水分摂取を意識することはとても大切ですね。

便秘改善による美肌効果もあります

今回紹介した研究では言及されていませんでしたが、水分摂取の大切なことの一つに便秘の改善があります。便秘になると、老廃物が腸内に留まり、血液によって全身に巡るためニキビや吹き出物が出やすくなると言われています。

便秘の方は、水分をしっかりと摂取することで、改善が期待できますので、まずは便秘の改善による肌トラブルの予防をするのが良いと思います。

水分を摂取するだけでは肌水分が上がらないことも

ここまで水分摂取と美肌について紹介しましたが、実際には、水分を摂取しているだけで肌を健康に保つことは難しいことを覚えておいてください。

体感している方も多くいらっしゃると思いますが、健康な肌は、運動、食事、睡眠などの生活習慣のバランスで保たれています。そして、こういった生活習慣のバランスが悪い状態に傾いたときには、免疫機能の低下などが起こり、皮膚のバリアー機能もどんどん落ちていきます。このように全身の健康状態が傾いてしまった時には、水分摂取だけで皮膚の水分を保つことも難しいと思われます。

このようなことから、水分摂取による美肌効果は、あくまでも一つの要因であって、本質的には日々のスキンケアと健康管理が大切だと思っていただければと思います。

さいごに

肌の水分維持はハリやツヤを保ち、乾燥による小じわを予防するだけでなく、皮膚のバリアー機能を維持するための大切な役割があります。

一日の水分摂取は食事と飲用水を合わせて2.2 Lと言われており、まずはこの量をちゃんと摂取できているかを見直すと良いと思います。2.2 Lのうち1.0 Lは食事からとれる水分と言われているため、1.2 L以上の水を毎日飲むように心がけると良いと思います。

今回紹介した研究では3.2 L以上の水を摂取していましたので、厚生労働省が推奨している2.2 Lよりも、1 L程度までは多く水分を摂取しても問題はないと考えられます。ぜひ、水分を意識的に行い、肌のトラブル予防を心がけてみてください。

  1. 再春館製薬所, Domohorn Wrinkle, お肌の老化を誘発する「糖化」の原因・対策や血糖値との関係を解説, https://www.saishunkan.co.jp/domo/column/skin-troubles/glycation-of-the-skin/ (検索日2022/7/26)
  2. Akdeniz M, Tomova-Simitchieva T, Dobos G, Blume-Peytavi U, Kottner J. Does dietary fluid intake affect skin hydration in healthy humans? A systematic literature review. Skin Res Technol. 2018;24(3):459-465. doi:10.1111/srt.12454
  3. Liska D, Mah E, Brisbois T, Barrios PL, Baker LB, Spriet LL. Narrative Review of Hydration and Selected Health Outcomes in the General Population. Nutrients. 2019;11(1):70. Published 2019 Jan 1. doi:10.3390/nu11010070
  4. Palma L, Marques LT, Bujan J, Rodrigues LM. Dietary water affects human skin hydration and biomechanics. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2015;8:413-421. Published 2015 Aug 3. doi:10.2147/CCID.S86822
  5. KOSE, お肌の水分量は足りてる?肌トラブルをおこさないためにできること, コーセーの美容情報サイト, https://www.kose.co.jp/kose/skin_care/skincare90.html(検索日2022/7/25)
  6. 厚生労働省、「健康のため水を飲もう」推進運動(検索日:2022/7/24)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/nomou/index.html
Avatar photo
食品会社で働く研究者。PhD(博士、医科学)。2児の父。普段は食品の機能性研究を行っています。食品の機能性、公衆衛生、栄養疫学、腸内細菌、統計解析などに興味があります。Twitterやブログで研究の紹介などを行っています。