冷え性は血行が悪いことが原因で体や手先などを温めても温まらない症状です。冷え性にはさまざまなタイプがありますが、10代から20代の女性は手足が冷えるタイプの冷え性が特に多いと言われています。冷え性はさまざまな不調のサインでもあり、手足が冷えるタイプの場合には、その他の症状として、頭痛や肩こりが多いようです [1]。
また、このタイプの冷え性は過度のダイエットや栄養不足が原因のことが多いため、冷え性の対策として、食生活の改善を意識することがとても大切です。その他に、内臓を温めることで手先、足先の血流が上がり、冷え性が改善します。
内臓を温める方法としては、おなか周りの保温が効果的ですが、白湯を飲むことでも改善すると報告されています。白湯を継続して飲むことで、冷え性が改善するなら手軽でよいと思いませんか。この記事では白湯による冷え性の改善について解説をしたいと思います。
白湯が冷え性を改善する理由
深部の体温を上げることで末しょうの血流量があがる
はじめに、冷え性の原因は血行の悪さと紹介しましたが、手足が冷えるタイプの冷え性の場合は特に末しょう部の毛細血管への血流が低いです。
手足の毛細血管の血流が上がるのは、リラックスしているとき、満腹のときなどに働く副交感神経が優位になっているときですが、他には、体の中心部の体温(深部体温)が高いと末しょうの血流量が上がります。
この理由は、体の表面にある毛細血管への血流を多くすることで、体の表面温度を上げ、発汗により高くなった深部体温を下げようとするためです。
手足が冷えるタイプの冷え性の方は、どうしても手先、足先を温めることに意識が向かってしまいますが、根本的な冷えの改善には体の深部を温めて、末しょうの血流をあげることがとても大切です。はじめに、女性にこのタイプの冷え性が多いと書きましたが、女性は子宮や卵巣があり、腹部の血流が悪くなりやすいために、内臓が冷えることによる冷えが起こりやすくなるようです。
白湯を飲むと内臓が温まり、末しょうの血流量があがる
深部体温を上げると言われても、あまりピンと来ない方が多いかもしれませんが、簡単にできることで良いので、物理的におなか周りや内臓を温めてあげてください。たとえば、腹巻きを使って、おなか周りを冷やさないといったことも有効です。
また、白湯など、あたたかい飲み物を飲むことで内臓が温まり、深部体温を上げることができます。しかし、コーヒーや緑茶など、カフェインが含まれる飲み物は、カフェインに血管を収縮させる効果があるため、おすすめできません [2]。
白湯の他には、麦茶も末しょうの血流量を上げることが報告されています。麦茶は夏の飲み物というイメージが強いと思いますが、カフェインが含まれず、末しょうの血流量をあげる成分が含まれているため、冷え性の対策として、とてもおすすめの飲み物です [3]。
白湯や麦茶のように、深部体温を上げ、末しょうの血流を上げる飲み物は副交感神経を優位にするため、寝る前に飲むことで、睡眠の質を高める効果も期待されます。冷え性の対策とセットで頭に入れておくと良いと思います。
白湯を飲んで発汗や手の温度が上がった研究の紹介
では次に白湯を飲んで血流が改善した例を紹介したいと思います [4]。これは鈴鹿医科大学の研究グループによる報告ですが、常温、3℃、60℃に調整した水を飲んだ後の体温、体の表面温度、汗の量などを詳細にモニタリングした研究です。
この研究によると、常温や3℃の水と比べて、60℃の水は飲んだ直後から体の表面の血流が上がり、発汗が認められています。詳細にデータを見ると、発汗や血流量の上昇のピークは、飲用後1分で、10分くらいまでは継続した効果があるような印象です。
このように、白湯による冷え性の予防は短時間で、顕著な効果が期待できるため冷え性に悩んでいる方は一度試していただきたいと思います。
さいごに
白湯と冷え性に関するこの記事はいかがだったでしょうか。冷え性と聞くと、冬のイメージが強いと思いますが、近年はエアコンの影響で、夏にも冷え対策の特集を見ることも多くなっています。
また、冷え性は一見、手足の冷えの方に目が行ってしまいますが、肩こりや頭痛などの症状にもつながりますので、軽く見ないで、しっかりと対策をすることがとても大切です。
白湯による冷え性対策は体への負担もなく、何よりも直接手足を温めるのと違い、血流を改善するため、根本的な冷え性対策です。冷え性に悩んでいる方は、この記事を参考に白湯を続けて飲んで、冷え性の改善に挑戦してみてください。
- ふくおかクリニック, 冷え性(冷え症), https://www.fukuoka-cl.jp/cold_sensitivity/ (閲覧日:2022年9月7日)
- Noguchi K, Matsuzaki T, Sakanashi M, et al. Effect of caffeine contained in a cup of coffee on microvascular function in healthy subjects. J Pharmacol Sci. 2015;127(2):217-222. https://doi.org/10.1016/j.jphs.2015.01.003
- Suganuma H, Inakuma T, Kikuchi Y. Amelioratory effect of barley tea drinking on blood fluidity. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2002;48(2):165-168. https://doi.org/10.3177/jnsv.48.165
- Chihiro Miwa, Hiroya Shimasaki, Akira Deguchi, Yasunori Mori, Kazunori Maeda, Masayasu Mizutani, Hitoshi Hamaguchi, Effects of Temperature of Drinking Water on Regulation of Body Temperature in Humans, J Balneol Climatol Phys Med, 2019, 82(2), 78-85, https://doi.org/10.11390/onki.2324